ママは働いたらもっとスゴイぞ!(和田清華/ダイヤモンド社)
初めての子供を育てるときは、あらゆることが、初めてのことばかりだ。
でも、その中の多くのことは、自分にとっては初めてでも、既に子供を育てたことがある人には、当たり前のようになってしまっていることなのだろうと思う。
初めての子育ての時、実際に子育ての経験がある人の話しというのは、とても役に立つ手引きとなるだろう。そういう知恵をまとめたものが、この本だ。
仕事をしながら2人の子供を育てた著者が、実体験から得た気づきを「時間術」「家族」「バランス」などのテーマごとにまとめている。1つの項目につき2ページずつの小さな話しに収められていて、短い時間の合間にも読みやすい。
特に良かったのは「幸福感」をテーマにした章だ。専業主婦をしていて子育てだけをしていたり、社会との接点を持つ時間が少なくなってしまうと、「どうして自分だけが」という気持ちになりやすいのだろうと思う。そういう時、どこに幸せを見出すか、どのようにして気持ちを変えていくかについて、著者自身の経験を元に、自分はどう考えて、どう変わってきたかが書かれている。今子育てをしている人はもちろん、まだ子供がいない人にとっても、気づきがたくさんある本だと思う。
【名言】
保育園に子供を預けて働く場合、働いた給料の多くは保育園代に消えます。でも「どうせなくなるのだったら、ムダだからやめよう」というのは、もったいないことです。たとえ、給料の大半が保育園代に流れたとしても、いったんは自分に入ってくるのです。自分でお金を稼ぐと、自信が出てきます。(p.94)
私の現在の家庭は、「理想の家庭」とは違います。漫画の「サザエさん」みたいに食卓を囲んでわいわい話しながら食べる夕食が私の理想なのに、なぜか夫は忙しいビジネスマンだったからです。結婚当初は「こんなの理想と違う」がケンカのはじまりでした。でも、2人目の子供ができたあとくらいに、「幸せだなあ」と心底思ったときがありました。理想どおりじゃないのに、幸せなのです。このとき、私は「理想=幸せ」と思い込んでいたことに気づいたのです。理想は理想、幸せは幸せ。幸せは、理想と違う今を否定しなくなったとき、感じられます。今あるこの状況でいかに幸せを感じられるかが、大事なんですね。(p.115)