蚊トンボ白鬚の冒険

蚊トンボ白鬚の冒険 (上)蚊トンボ白鬚の冒険 (下)
蚊トンボ白鬚の冒険 (上)(下)
(藤原伊織/講談社)
【コメント】
主人公の頭の中に蚊トンボが入り込んで、その蚊トンボが身体能力を驚異的に高めたり、宿主と会話が出来たり、という設定は岩明均の「寄生獣」にとてもよく似ている。
株や車メーカーの構造問題など経済的なテーマを下地にして、主人公と裏社会との対立がテーマになっていたけれども、あまり現実味はなかった。
登場人物のキャラクターも個性がありすぎて、かなりマンガ的な小説。
【名言】
手に職を持ち、毎日、熱心に働いている。きみにはきっと、平穏で堅実な将来が待っている。いずれ、いい家庭を持つことにもなるでしょう。それこそ、もっとも価値のある人間の生き方だと思う。なんだかそういった生活がうらやましくなってきた。
さっきふいに思いあたったんです。邯鄲の夢でないのは唯一、きみのおくっているような生活以外にないのだと。(下巻p.160)