僕が『デッドセルズ』を知ったきっかけは、酒ねこ @orangewind さんという方のツイートを目にしたことでした。
デッドセルズ、クリアした!いやーほんと面白いわ、このゲーム。
— 酒ねこ (@orangewind) 2019年1月12日
聞いたことがないゲームを「すごく面白い」と言っている人がいたら、そのゲームは高い確率で本当に面白い。
「人気がある」という理由で買っている層のユーザーではなく、自分自身のアンテナを持っていて目が肥えているユーザーである場合が多いからだ。
その後、検索をしてレビューブログを読んだところ、これはたしかに良さそう。
即、Switch版をダウンロードして、実際にやってみて、本当に超面白かった。
遊んでいて、心の底から楽しいと思ったゲームは久しぶりだった。
その後、試行錯誤を繰り返しながら、ようやくクリアをして、その達成感が半端なかったので、この「デッドセルズ」というゲームの面白さがどこから来ているのかについて考えながら、紹介をしていこうと思います。
メトロイド+ドラキュラの面白さ
『デッドセルズ』は、「メトロイドヴァニア」と呼ばれるジャンルのゲームであるらしい。「メトロイド」と「キャッスルヴァニア(「悪魔城ドラキュラ」の海外版名)」を足してあわせた造語で、やってみるとたしかに両方の要素がミックスされているのが分かる。
マップの空白を埋めながら未知の領域を探索していくところは 「メトロイド」、アクションとしての操作性は「キャッスルヴァニア」によく似ている。
(正確には、自動でオートマッピングしてくれる、スーパーファミコン版の「スーパーメトロイド」により近い。)
「メトロイド」も「キャッスルヴァニア」も、どちらもファミコン時代のゲームなので、それだけ古くから既に存在している種類のゲームではあるのだけれど、大きく進化しているのは操作の快適性だ。
キャラの動きが機敏で、こちらの思った通りにするすると動いてくれる。とても基本的なことだけれども、「デッドセルズ」の楽しさの一番の肝は、この、動きの気持ちよさだと思う。
絶妙なゲームバランス
『デッドセルズ』の奥の深さは、遊び方の多様性によく現れている。
パラメータは、シンプルに「近接攻撃」「遠隔攻撃」「体力」の3種類があって、自分が選択したパラメータのレベルを上げていくことで能力が成長していく。
アクションが得意なユーザーであれば、「近接」のスキルを上げて力技でガンガン押し込んでいくパワースタイルで乗り切っていくことが出来てしまう。
しかし、アクションが苦手であっても、別の道が用意されていて、「遠隔」のスキルを上げて、戦略を立てることでじっくりと攻略していくという方法をとることでもクリアまで到達が出来る。
このゲームには数多くの武器や防具が登場するのだけれど、その性能のバランスもまた絶妙で、ダメージ効率を上げると防御が弱くなったりといったトレードオフが常に存在している。
今挙げたのは一番単純な例で、実際には4種類の武器防具の組み合わせになるので、それぞれ何を選択するかによって、パフォーマンス効率の悪い組み合わせになったり、逆に抜群のシナジー効果が生まれたりする。
プレイヤーの数だけ遊び方がある
遊び方という点でも、『デッドセルズ』は実に豊富な選択肢を用意している。
たとえば、じっくりとステージのすべての場所を探索しつくして、すべてのアイテムを回収して、着実にレベルや装備を強くしながら進んでいくというやり方がある。
その一方で、途中の敵を無視しながら、ひたすら時間効率を重視して次のステージへと進んでいった場合、時間制限のかかった扉を開けることが出来るようになり、中のアイテムや宝をまとめて手に入れることが出来る。
高速で先に進むやり方は、危険は大きいけれども、その分手に入る見返りも大きいというハイリスクハイリターン型だ。
こういう、攻略のオプションがいくつも用意されていて、プレイヤーのスキルや気分によって、その都度都度の最適解を見つけていく面白さがある。
伝説の装備を求めて
そしてもう一つ、ハマらせる最大の要素が、「運」が絡んでくるというギャンブル的な高揚感。
『デッドセルズ』は毎回マップの構成や、宝箱の中身、敵がドロップするアイテムなどがランダムで変わる、いわゆるローグライクと呼ばれるゲームで、やる度に自分の手にする装備が変わることになる。
そして時には、チート級の強さを持つ「レジェンダリー」と呼ばれるレアアイテムが拾えることもあり、これを拾うと格段にその後の攻略が楽になるので、かなりテンションが上がる。
このあたりは、敵をひたすら倒してレアなアイテムを探し求める、「ハックアンドスラッシュ」といわれるジャンルのゲームの面白さをとても上手く取り入れている。
シビアだけれど時間をかければ誰でもクリア出来る
『デッドセルズ』には途中でセーブする機能はない。
どれだけ必死に育てていいアイテムを拾ったとしても、死んでしまった場合は、また最初の場所に戻って一からやり直しという、ここもファミコン時代を思い出させるシビアな設計になっている。
ボスキャラの手前でセーブしておいて、死んだらそこからやり直せる、というのが当たり前の昨今のゲームに慣れたプレイヤーにとっては、理不尽なまでの非道さだろう。
ラスボスまで来て殺された時には、ここまでの苦労と時間は一体・・と間違いなく呆然とする。
しかし、このゲームのバランスが優れているのは、たとえ死んだとしても、やり込めばやり込むほど、少しずつ使えるアイテムが増えていって、結果として難易度が少しずつ下がっていく設計になっていることだ。
最初は無かった体力の回復薬が、経験値を積んでいくことで、最終的には最大5個まで持っていくことが出来るようになる。お金も、少しずつ持ち越せる金額を多くすることが出来る。だから、途中で死んだとしても、すべてが水の泡になったわけではない。
たとえアクションゲームが苦手でも、何度も何度も立ち直りながらプレイし続けることで、着実に先に進めるようになっている。
このゲームはたぶん、根気よく時間をかけながら戦略さえしっかりと練れば、誰でもクリアまで到達出来るのではないかと思う。
やればやるほど、確実に自分が強く、巧くなっていくという感覚。
僕は、そう実感させるゲームこそが、名作の条件だと思っている。
面白さのエッセンスが凝縮している
あと、僕がこの『デッドセルズ』を好きなのは、ドット絵調のグラフィックで、なんとなくスーパーファミコンぐらいの時代を思わせる懐かしさがある絵柄だからということもある。
見た目は素朴でシンプルなのだけれど、中身はこれまでのゲームの潮流をすべて取り入れて、「ゲームの面白さ」のエッセンスを抽出してぶち込んだ、最新型にアップデートされた内容になっている。
一度クリアして終わりというわけではなく、ノーマルモードの先には、ハード、ベリーハード、エキスパート、ナイトメア、といった、さらなる難易度が待ち構えている。
何百種類もあるアイテムをコンプリートしていくというやりこみもあるし、いかに早くクリア出来るかというタイムアタックで遊ぶにも向いた仕様になっている。
やればやるほどに味があって、新しい発見があり、なかなか飽きがこない。
プレイしていると実感するのだけれど、「この動きはこうなってほしい」という所が、見事なまでにしっかりと実装されている。その細かな積み重ねによって、隅々まで行き届いた快適な操作性が達成されている感じがする。
『デッドセルズ』をデザインしているチームは、かなりゲームが好きなのだろうと思う。
一つだけ、改善を望む点
たった一つだけ、仕様の点で僕が残念に思っているのは、アイテムをアンロックした後に、再び封印をする「リロック」の機能がないことだ。
ゲーム中に登場するアイテムは、アンロック済みのすべてのアイテムからの抽選になっているので、弱い装備をアンロックしてしまうと、相対的に強い武器のドロップ率が下がってしまう。
これだと、アイテムをアンロックするほどに不利になる状況が生まれてしまうので、ここは、一度アンロックしてもそれをやり直せる手段を用意してほしかったと思う。
(※どうやらPC版はリロックが出来る設定があるようなので、この点はSwitch版でのアップデートを期待します)
(※追記2019年2月:Switch版も、バージョンが1.1にアップして以降、アイテムをリロックできる「カスタムモード」が搭載されました!)
もし、これから『デッドセルズ』を始める場合、一度アンロックをしたアイテムは元に戻せないということを頭の片隅に置いてからスタートすると、後悔が少なくなると思われます。
結論:おすすめです!
『デッドセルズ』は、店頭で販売されているのではなく、ダウンロード専用ゲームとして販売されているので、一般的な知名度としてはかなり低い。
まして、著名タイトルの続編というわけでも、大手ソフトメーカーの作品というわけでもないので、販売数としてはかなり不利な状況だろうと思う。
僕自身も、twitterでたまたまこのゲームの名前を目にしなかったら、一生縁がなかっただろう作品だったのだけれど、出会ってよかった。
もし中学生くらいの頃にこのゲームに出会っていたら、やりこみ過ぎて人生が壊滅していた可能性がある。
Switch版の他にも、パソコン版やPS4版も出ているので、この記事を読んで興味を持った方はぜひ一度遊んでみてください。
クリア出来た時にきっと感じるであろう達成感については保証出来ます。
ダウンロード専用ソフトということで、インディーゲームの位置づけなので、値段としては安めです。(2,500円弱ぐらい)
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参考情報
初クリアした時の装備です。
ラスボス戦でのアクションに自信がなかったので、遠隔に極振りして、自動ダブルクロスボウ2つに攻撃をさせながら自分自身は逃げ回るというチキン戦法でギリギリ勝ちました。