夜回り先生


夜回り先生1~6巻(土田世紀,水谷修/小学館)

とても感動した。「夜回り先生」の話しは、土田世紀の絵にとてもよくマッチしている。「夜回り先生」をマンガにするには、土田世紀以外の筆者はあり得ないと思うぐらいのハマり方だ。小説も良かったけれど、この作品は、マンガ化して更に素晴らしくなったと思う。
この、夜回り先生こと水谷さんの活動がスゴいと思うのは、自分の活動を組織化することをせず、決して群れることをせずに、1対1で向き合うことだ。それは、大人が二人以上集まると、それだけで子供にとっては圧力になり、心を開くことがなくなるからだという。
サイトを見ていて知ったのだけれど、水谷さんは「リンパ腫」という病気にかかっていて、あまり長くない体であるらしい。
http://books.yahoo.co.jp/interview/detail/31438164/01.html
それでありながら、今も変わらず、毎日夜回りやメールの対応や講演活動を、ほとんど睡眠をとらずに続けているという。
実在の人物の活動をマンガや物語にするにあたっては、構成の都合などで、多少の脚色が入ることもあるだろうし、どこまでがフィクションで、どこまでがノンフィクションなのかは、わからない。
だけれど、そういう細かい部分はどうでもよく、ただ、一人の信念を持った人が、自分の体と時間を極限まで酷使して、多くの子供に向き合い続けているということは事実で、その気迫と覚悟がこの作品からも伝わってくる。