水はなんにも知らないよ(左巻健男/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
「水に“ありがとう”と言うと美しい結晶ができる」という、巷間に出まわっている説に真正面から異をとなえた本。この本で言われていることはもっともなことばかりで、とても説得力があった。
「ありがとうと言うと美しい結晶ができる」というのは、悪い話しではないと思う。
それを利用して、水を売って儲けようというビジネスについてはいかがわしいと思うけれども、そうではない限り、罪のないファンタジーとして夢を与える存在は、あってもいいのではないかと思う。
水が言葉を理解するということが真実であるとは思わないけれど、ただ、この本が語っていることが100%真実であるとも思わない。人にはまだわからないことが数え切れないほどあって、「水」という物ひとつとっても、未知のことばかりだろう。
重要なのはバランスで、一つの意見だけではなく、色々な考え方や立場があるということを知ることなのだろうと思う。そのことを知れば、盲目的に他人の意見に追従することも、だまされることもない。
その意味で、この著書のようなカウンターオピニオンは歓迎されるべきもので、「よくぞこの本を出してくれた!」と喝采をおくりたい。