かなり、素晴らしかった。
横尾忠則という人を今まで知らなかったのだけど、ほぼ日刊イトイ新聞に連載された、横尾さんへのインタビューを読んで、超笑って、ものすごく興味を持って、行きたくなった。
→http://www.1101.com/boukenooooo/
世田谷美術館での展示は6月15日が最終日で、それにあわせて、午前中に横尾さんと糸井さんの対談があり、それが、最高に素晴らしかった。
糸井さんの聞き方も、どうしてこんなに上手に言葉を使えるんだろうというぐらいに最高だったし、それに対する横尾さんの答え方も独特の味があって、こんなにも笑える対談は初めてだった。この内容がコンテンツとして残らないのは、非常にもったいない。
こういうイベントを最終日にやるということが変わっていると思うのだけれど、イトイ新聞への連載がおこなわれた中で、急遽決まったのだという。
対談の中で言っていたことで面白かったのは、
横尾さんは絵の「コンセプト」ということについてよく聞かれるのだけれども、そんなものは無いのだという。コンセプトという概念自体が、近代に出来たもので、たとえば縄文時代で物を作る時には、コンセプトとかいう以前に、まず「技術」がどうかというところが問題になるし、そこしか問題にならない。
これはとても納得がいく話しで、コンセプトなんてものがたとえあったとしても、それが具体的に形にならなくては何の意味もなく、やっぱり行き着くところは技術なのだろうと思う。
実際に展覧会の絵を見て、本当に驚いた。
今まで「好き」だと思っていた絵が遠く霞んでしまうくらい、強烈な魅力を持った絵ばかりだった。
「なんだ、これは!」の連続で、一つの絵の中に数えきれないぐらいの仕掛けが埋め込まれている。絵の上に写真のコラージュを散りばめたり、絵と同じ対象物を立体模型で造ってみたり、一つの絵の中に複数の画法を共存させていたり。
ここまで自由な発想で絵を描けるというのは、一体どういう感性をしているんだろう。
横尾さんは、子供が魅力的に思うような、不思議なものや未知のものへの純粋な好奇心と遊び心を持ったままに、高度な表現力を身につけた人なのだと思う。
好きな絵がありすぎて、とても挙げ切れないのだけれど、
特に好きだったのは、
「薔薇の蕾と薔薇の関係」
→複数の絵が、目に見えないマトリックス上でつぎはぎされた、幾何学的な図。
「夢日記」
→10cm四方くらいの小さいキャンバスに、夢の中で見た風景が描かれている。全部で24点ある連作。どれも色使いが青みがかっていて幻想的。
「20年目のピカソ」
→上下が逆さまになった絵の端から、ピカソのタッチを模写して描かれたピカソが絵を眺めている。
「赤い風景を描くミッキー」
→全面赤で統一された色調の絵を描いているミッキーを後ろから描いた絵。
「金の湯」
→赤色と金色の温泉に、幽霊のように輪郭がぼやけた人たちが浸かっている。
「タカラヅカを観た夜に見た夢」
→宝塚の雰囲気をそのままに、Y字路を舞台として踊っている図。
「Are You Ready for flying?」
→鉄腕アトムが横切る図の隣りに、鳥や飛行機などの写真がたくさん貼り付けられている。
「ナポレオン、シャンバラ越え之図」
→馬に乗ったナポレオンが、峠の途中にいる桃太郎と、その先にある電飾付きの城を目指している絵。
東京での展示会は終わってしまったけれど、同じ展示が、兵庫で6月27日から8月24日まで開催されるという。
イトイ新聞に連載されたレポートでも、その楽しさは充分に感じられると思う。
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