邦題は『最高の人生の見つけ方』というのだけれど、この邦題はまったく好きじゃないので、原題の『THE BUCKET LIST』のほうを、ブログエントリーのタイトルにした。
ガンを告知されて余命半年という老人二人が、残りの人生を本当に自分のやりたいことのために使う、という、言ってしまえばありきたりなストーリーではあるけれど、これがやっぱり、期待を裏切らず、良い話しだった。
メメント・モリ(死を想え)というテーマは、僕自分が非常に共感しやすいテーマでもあるし、「死」を題材にして感動しない物語を作るほうがむしろ難しいくらいなので、ちょっと反則っぽい感じなのだけれど、そういうことをさしおいても、この映画は良かった。
黒澤監督の『生きる』と共通するテーマではあるけれど、大きく違うところは、自分一人で死と向き合うのではなく、病室で知り合った、同じ病気の仲間と共に、残りの時間を存分に味わい尽くそうとする点だ。
『生きる』のほうが、死というものに対する向き合い方の深さはずっと深い。余命を、自分自身のためよりも、むしろ公共の利益のために燃やそうとする。これはとても立派な時間の使い方だ。内村鑑三が『後世への最大遺物』の中で最高の価値を置いた、「生き様を遺す」という遺物そのものといえる。
しかし、この、『最高の人生の見つけ方』という映画で示されるように、限られた時間を自分自身のために精一杯謳歌しようとするのも、立派な余命の使い方であると思う。
ジャック・ニコルソンと、モーガン・フリーマンという組み合わせが、渋い。どちらも、それぞれの人物の個性がよく表われていたし、そのわがままにつきあう、トーマスという秘書も、かなりいい味を出していた。時間が、1時間半と短めで、テンポよく進んで行くのもいい。終わり方も、すごくセンスがいいと思う。
「THE BUCKET LIST」というのは「棺桶に入る前にやるべき」ToDoリストのことで、彼らがリストの夢を実現させるごとに、その項目が塗りつぶされていく。映画を観て、この「BUCKET LIST」を、自分も考えてみようという気になった。
■公式サイト
→http://wwws.warnerbros.co.jp/bucketlist/
主演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン
監督:ロブ・ライナー
(2008年)
【名言】
I know that when he died, his eyes were closed, and his heart was open.
Don’t get me wrong, I loved being married, been there four times. Problem is I love being single too. Hard to do them both at the same time.