相当ありがちな設定とストーリーだったけれど、あまり退屈な部分がなく、テンポがよかったので、普通に面白かった。主演のニコール・キッドマンもとても良い。
ただ、バイオハザード風の映像はやめてほしいと思った。感染のさせ方も汚いし、カーアクションでは無意味に人がはねられるし、そのあたりはかなり趣味が悪い。こんなもの暗い映画館で観たら、ウンザリしてまともに観ていられない。
(以下、ネタバレを含みます)
良かったと思ったのは、この作品にはちょっと考えさせられる命題が含まれているところだ。人間対宇宙人(ウイルスに感染した人間)という構図になっているけれど、単純に人間の側にのみ正義があるとはいえない。ニコール・キッドマンは、我が子を守るためとはいえ、多くの人間を殺しながら逃亡を続ける。そりゃないだろ?という気がする。
感染した人間は、感情も表情も失って、静かに穏やかに自分自身の仲間を増やしていこうとする。その目的の前には国境もないし、人種も性別も関係ない。感染した人間に言わせれば、「我々は人間よりも優れた存在だ」ということになるだろう。
そうかも知れないな、という気もする。彼らの感染の広げ方は確かに、暴力的ではない。武力による侵略に比べたら、よほど人道的なテリトリー拡大の仕方に違いない。
・・という問題提起が含まれているところまでは良かったのだけれど、どういう結末になるのかと期待していたら、ラストではかなり肩すかしをくらった感じだった。