かもめ食堂

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とてもいい映画だった。
街の景色が素晴らしい、設定が素晴らしい、キャスティングが素晴らしい、終わり方も、エンドロールのBGMも素晴らしい。
「かもめ食堂」は、サチエが一人でフィンランドに開いている、おにぎりがメインメニューの食堂だ。
彼女は、「何かを成し遂げるんだ」というような気負った気持ちで食堂をやっているわけではない。お客がいてもいなくても、同じように彼女はそこで静かに過ごし、たまにお客がくれば美味しい料理を作って食べてもらうだけだ。
たまたまの成り行きからその食堂で出会った人たちの人生が一瞬、そこで交わり、また離れていく。それらすべてをサチエは自然に受け入れて、自ら人を集めるようなこともしないし、去る人を引き止めるようなこともしない。そんなサチエのいる「かもめ食堂」が、とても居心地がいい空間に思えた。
遠い異国の地で、寂しさにうちひしがれているような時、誰かが自分のためににぎってくれた美味しいおにぎりを食べることが出来たら、どれほど幸せなことだろう。
誰かを幸せにするのには、別に特別な才能や能力が必要なわけではない。ただ、笑顔で誰かのためにコーヒーを淹れるだけで、充分に人を幸せにすることは出来るのだ。
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【名言】
「ねえ、知ってました?ニョロニョロって、電気を食べて生きてるんですよ」
「電気ですか・・みんな何かを食べないと生きていけないんですねえ」
「あのう、、私が日本に帰ることになったら、サチエさんは寂しいですか?」
「帰るんですか?」
「いや、例えばですけど」
「さあ、、どうでしょう。もともと一人でやってきた食堂ですし。まあ、ミドリさんにはミドリさんの人生もあるし」
「寂しくないんですね」
「いや、そうは言ってませんけど」
「寂しくないんですねえ・・」
「でも、ずっと同じではいられないものですよね。人はみんな、変わっていくものですから」