『ファイナルファンタジーXVI』をクリアした感想。
ビジュアルはスゴい
ビジュアルとムービーのクオリティーはスゴい。
もうほとんど、長編のCG映画を観ているようで、その合間にミニゲームをやっているような感じ。
ひたすら長尺のムービーが流れ続けて、倍速で再生できない映画を観ているという印象に尽きる。
吉田プロデューサーがインタビューで「ストーリーに全振りした」と言っていたけれど、たしかに、ゲームそのものの内容が薄すぎる。
かといって、ストーリーの出来がいいかというと、そんなに印象深いストーリーではない。際立ったオリジナリティーも意外性もなく、ファンタジーっぽい要素を詰め込んだような話だと思った。
ストレスは少ない
良いところは、とにかく進行がスムーズでストレスが少ないところ。
主人公が強すぎるので、□ボタンを連打しているだけで、ほとんどの戦闘は勝手に終わってしまう。
装備を強化する必要もないので、ときどき、その時点で手に入る最強装備を買えば、それ以上何もしなくていい。
自分のレベルに合わせて敵のレベルも調整されるようなので、もしかして、まったく何も強化しなくてもいいのかもしれない。
ゲーム進行は一本道で、次にどこに行けばいいかが常に示されているので、迷いようがない。
もし進む方向がわからなくなったとしても、トルガルに尋ねると、正しい方向に導いてくれる仕組みがある。
レベルアップで覚えるアビリティーについても、おまかせ選択オートボタンが付いているので、勝手に覚えさせればとくに不都合はない。
簡単でストレスがないのはいい面もあるけれども、ここまで何もやることがないと、ゲームをやっている意味があるんだろうかと思ってしまう。
スロット感覚で、ほぼボタンをひたすら連打すれば勝手にエンディングまでたどり着く。これが、スマホで遊ぶことが多い昨今のユーザーのトレンドということなんだろうか。
メインクエストですら、お使い的な意味のない作業をやらされている感じがするクエストばかりなので、サブクエストに至っては、もうまったくやる気が起きない。
お金もアイテムも、ほとんど意識することなくクリアまで進んだので、サブクエストやレベル上げのような寄り道をする必要性がまったくなかった。これも、いいんだか悪いんだか、もはやわからない。
派手すぎるバトル
バトルのエフェクトが美麗なのは良いのだけれど、演出が派手すぎて、敵キャラの姿が全然見えない。誰と戦ってるんだかも、テキストを見ないとわからない。
ときどき、やや強い雑魚キャラが出るのだけれど、別に戦い方が変わるわけではなく、ただ倒すまでの時間が余計にかかるだけ。
これは、「オートアタック」と「オートドッジ」の指輪を付けていたからかもしれない。指輪をはずして全部マニュアルで攻撃を避けたりしていれば、バトルの操作はもっと複雑になるのかもしれないけれど、わざわざ手間がかかるような設定にしたいとは思わなかった。
召喚獣同士のバトルの迫力はスゴい。
ただ、もう、すべての技が大味すぎて、ダメージ値も数十万とかインフレしすぎて、ひたすら焼肉バイキングを食べているような胃もたれ感がある。
新たな召喚獣の力を身につけるたびに、使えるアビリティーは増えていたようなのだけれど、セッティングが面倒で何も変えずにやっていたので、どういうバトル戦略が可能だったのかはよくわからない。
まとめ
クリア後も、「強くてニューゲーム」や、タイムアタックなどのやりこみ要素はあるようなのだけれど、もうこれ以上このゲームに時間を使う気にはならないので、一周目クリアまでで離脱をすることにする。
このゲームで評価できるのは、とにかく、ビジュアルが美しいこと。
ここまできたら、FF16はゲームじゃなくて映画でいいんじゃないかと思うけど、もしそれをやると、何時間もダラダラとした映像を見せられるだけの退屈な内容になるだろう。
ハードの性能を限界まで引き出すことがファイナルファンタジーシリーズの最大の売りだったけれど、プレステ5ぐらいにハードが進化してしまっては、もうビジュアル面では差別化のしようがなく、厳しいだろうと思う。
ストーリーだのビジュアルだのに全振りしたら、他の、ギリギリまで突き抜けたゲームや映画にはかなわない。
もっとゲーム自体の面白さを突き詰めたRPGを作ってほしかったというのがプレイして感じたことだった。