コンセプトライフ(柴田陽子/サンクチュアリパプリッシング)
柴田さんという人は、カッコつけずに、ずいぶん正直にこの本を書いているなと思った。人にものを教えようという感じではなく、純粋に、自分の気持を自分のために思いおこしながら書いているという雰囲気が良かった。
面白いと思った箇所を2つ、長めに引用。
【名言】
わたしはいままでに何百人も面接をしてきていた。
で、面接の最後に「質問はありますか」とたずねると、「土日は必ず休みですか?」「夏休みはどれくらい?」「みなさん、何時くらいまで働いているんですか?」「年棒制でしょうか?」「社長の考え方はどうなんですか?」などと聞いてくれる人がいる。条件面は大切だ。自分の働きたい環境が整っているか、社会人として知っておくのは当然だろう。
でも、やはり、かしこくないというか。
こちらから言わせると「でた」という感じ。
まず会社の望みにこたえてあげる。条件面の話なんてその後にしたほうが、あなたもお得なのにと思った。
特にわたしは出会いとか縁が好きだったから、面接とか採用にはあんまり積極的じゃなかった。(p.203)
ある雑誌の取材。「夢をかなえる3か条」という大人気コーナーがありまして、ぜひ出ていただけませんかと言われたので、出ることになった。たとえばですね、夢が実現すると信じて行動する。悩みを翌日に持ちこさない。好きなことを誰よりも追求する。はい、こんな感じの3か条になっちゃうんですが、しばたさんの場合、どんな感じになりますかね?
どんな感じ?
ばかにしちゃいけない。
わたしは冷静に「夢を持たない」「夢に振り回されない」「夢を探さない」とこたえたの。
夢なんていらない。夢がなくたって、毎日楽しく生きている人のほうがよっぽどかっこいいと思うもの。わたしは子どものころからずっとなにになりたかったかといえばスポーツキャスターとか弁護士とかスケート選手とかお花屋さんだったけれど、いまのところは、いまのような仕事をしていて楽しいと感じている。夢はあきらめなければ叶うなんて変だ。がんばったってだめなときはあるし、からだを壊してしまうときもあるし、自分の能力ではやっぱり無理というか、むいてないことはやっぱりあるなとも思うから。(p.224)