集合住宅としての無機質な「団地」の魅力と妖しさを圧倒的な画力で表現した「童夢」

非現実にもかかわらず迫り来る現実感


圧倒的な画力だと思った。
コンクリートがひしゃげた状態や、人間が浮遊した時など、現実には目にする機会がないような場面がたくさんあるにもかかわらず、ここまで現実感をもって迫ってくるというのは、ただただ、このずば抜けた描写力があってこそのことだろう。この作品の場合、もしストーリーがなく、無声だったとしてもその面白さが大きく失われることはない。

巨大建造物の壊れっぷりや、子供みたいな老人や超能力が登場したりするところは「AKIRA」とよく雰囲気が似ているけれど、この作品が素晴らしいのは、舞台になっている、集合住宅としての「団地」が持つ魅力と妖しさが存分に表現されているところだ。

物語は、ある高層団地を舞台にして、そこから離れることがない。その巨大な団地は世界の縮図のようなもので、同じ形をした建物の連続の中に、同じ形をした部屋が密集していて、ごく小さなスペースの内部に無数の人々の生活が圧縮されている。

特に、夜の団地の美しさは圧巻で、無機質な団地の姿をペンによってここまで美しく描くことが出来るのは、大友克洋氏以外にはあり得ないだろうと思う。発行から20年の時を経てもなお色褪せることのない、不朽の作品といえる。

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