この映画はかなりツボにはまった。
基本マジメなんだけれど、ところどころ絶妙なユーモアが入っている感じがすごくいいし、細かい経緯をかなり省略して、あえて見せていないというところが好みだ。
意味がわかりにくい描写も多いので、万人におすすめ出来る内容ではないのだけれど、その、意味がはっきりしていない分、想像させる余地は充分に残されていて、「しあわせ」とは何なのかということについて、かなり考えさせられる。
オダギリジョーは、「ゆれる」の時とまったくキャラクターが違うのに、どちらの役もごく自然に馴染んでいて、すごい役者だと思った。大竹しのぶの、ちょっと厭味があるパートのおばさん役もハマっていた。
DVDには副音声に監督の岩松了と、オダギリジョー、麻生久美子の3人の感想が入っていて、これが爆笑だった。一回観終わった後に、この内輪感たっぷりのコメント付きでもう一度観ると5倍くらい面白い。映画作りの舞台裏がよくわかって、作品に付けられたコメンタリーとしては、最高の内容と思う。
不条理モノでもあるので、そういう物語が腑に落ちない人が観るとかなり評価は低いと思う。面白いと思う人同士で、お互いの推理を述べあって盛り上がるというのが、この作品の味わい方じゃないだろうか。