これは、アーティストの孤独と苦悩について考えさせられる映画だ。
人ならぬ鬼が、人里離れた山に住んでいるというのは日本の昔話のような設定だけれど、この映画では、それが、現代の住宅地に「はさみ男」という形で現れたら一体どういうことになるかという物語になっている。
両手が鋏というのは、優れたスキルの象徴であると同時に、異形としてのハンディキャップの象徴でもある。人々がその、異邦人を好奇の目で遠巻きに眺めてから徐々に近づき、消費した後にまた距離を置く様は、古今東西、どこにでも見られる姿なのだろう。
そもそも、ペグが親切心からエドワードを街の中に連れてくるということ自体が、大きなお世話だったんではないかと思える。
DVDには特典映像として、キャストや監督へのインタビュー集が収録されているのだけれど、ティム・バートン監督がやたら若いことに驚いた。この映像のセンスはやはり、この人でなければ生み出せない、独特なものがあるのだろうと思う。