日本よりもロンドンのほうが少しだけ公開が早く、ちょうどロンドンにいる時に上映中だったので、レスタースクエアの映画館で観てきた。
ヒトラー(にそっくりな人)がちょっとだけ登場して、これは敵ボスのシンボルとしてわかりやすいのだけれど、それ以外は、誰が味方で誰が敵なのかが、観ていてわかりにくい。
みんな同じ制服を着ているし、顔だけを見ても悪玉キャラと善玉キャラの区別がつかない。主人公のトム・クルーズからして、片目に眼帯をしていて、いかにもヒールっぽい見た目になってしまっているので、なんとなく、主役というイメージは薄かった。
とにかく圧倒されたのは、ナチスという組織の途方もない巨大さだった。この、大勢の人々がそれぞれの職掌に応じて任務をこなす姿は、GMや三菱のような大企業を思わせる。
司令部の壮麗な建物や、強力な規律という壮大な装置は、所属する党員の帰属意識を十分に満足させる、絶大なプロパガンダの効果があったのだろうと思う。こういう一糸乱れぬ秩序を持った組織の中にいながらにして、反乱を企てるというのは、心理としてとても難しいことであるに違いない。
その中で、隠密裏に計画を進める緊張感とスリリングさは、かなり強く伝わってくる映画だった。
■ワルキューレ公式ホームページ
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