46番目の密室


46番目の密室(有栖川有栖/講談社)

とても正統的な推理小説だと思う。
この作品で面白いのは、作品中に、推理小説作家や、その担当編集者など、いわば推理物という分野の専門家が多く登場することで、彼らが集まった時の会話は自然、「推理小説とは何か」ということがテーマになる。
エラリー・クイーンやディクスン・カー、エドガー・アラン・ポー、アガサ・クリスティーなど、様々な小説作家について言及しながら、推理小説の起源や歴史のようなことが語られるうち、その端々から、作者自身が強烈に持っている哲学が伝わってくるところが面白かった。
その中で「天上の推理小説」という言葉が出てくるのだけれど、そういう、理想的な作品を追求する姿勢を持っているからこそ、奇をてらうことなく、読者に対して真っ向からの勝負をしているんだろうと思う。
この「新装版」という版は、最近新たに出たものらしく、活字が大きくなっていて、とても読みやすい。巻末の綾辻行人氏の解説も、新装版用に追加されていて、いろいろとグレードアップしている。
【名言】
「始祖ポーが永らえていたらどんな推理小説を書いていたか、と考えたことがあるかね?『モルグ街の殺人』や『マリー・ロジェの謎』や『盗まれた手紙』といった短編から、われわれはトリックなるものを抽出してそれを継承発展させて楽しんできたが、それは必然的なものだったんだろうか、という疑問が私にはある。あり得たかもしれない別の豊かさへの道から逸脱してしまったのではないか?」(p.53)

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