金融についての常識をロジカルに公正にひっくり返してくれる「学校では教えてくれないお金の授業」

山崎元さんの著書は何冊か読んだことがある。
とてもロジカルで、公正で、率直な話しの仕方をするので、僕はかなり気に入っている。

この本は、他の著書で語られていることとほとんど同じなのだけれど、他の本が初心者向けにだいぶ噛み砕いて説明をしているのと比べ、よりトピックの範囲が広くなっていて、ひとつひとつの項目を詳しく説明した、中級者向けという印象だった。

とくに面白かった部分の紹介

お金の世界では、銀行・証券会社・保険会社などの金融ビジネスに関わる人々に判断を頼ると、ほぼ間違いなく「損」をします。 金融商品にあっては、市場で得られるリターン(収益)を商品の買い手である顧客の儲けと売り手の手数料に分ける仕組みになっているので、顧客が判断ミスをして高い手数料の商品を選ぶなどの損をすることが、売り手側の利益につながるからです。

そもそも、保険が加入者にとって得な賭けであるなら、ビジネスとしての保険会社は成立しません。保険は、滅多に起こらないけれども、起こった場合には自分で負担できないリスクを負担するために、多くの人を集めて対処する仕組みであり、保険会社はこの仕組みを提供するのが役割です。がん保険の宣伝によく見られるフレーズである、二人に一人はがんになるとか、三人に一人はがんで死ぬといった、「よくある心配ごと」に対処するにはもともと向かない仕組みなのです

これは冷静に考えてみると当たり前と思われる話しなのだけれど、銀行や証券会社や保険会社の担当者や、あるいはファイナンシャルプランナーといった肩書を持った人に相談をしたところで、絶対にこの事実を聞かせてもらえることはないだろうと思う。

この際の割引率は、不動産物件の投資利回りに当たりますが、これがローン金利よりも高いから、「この不動産投資は儲かっている」と考えるのは「よくある間違い」です。私はこの間違いを「欲張り父さんの錯誤」と呼ぶことにしています。これは、「リスクの異なる利回りを直接比べてはいけない」というセオリーから外れる典型的な例です。ローン金利は、借り手としては基本的に確実に返さなければならないリスク・ゼロの利回りです。不動産の投資利回りは、将来の家賃変動、空室リスク、物件価値の変動などのリスクをたっぷり含んだ期待リターンなので、両者を直接比べるのは間違いなのです。

これは、「低金利のローンで資金を借りて、それよりも高い利率で不動産運用をすれば簡単に利益が出るではないか」、というよくある誤りについての説明。

外国為替取引の参加者は、複数の通貨について、為替と金利をセットにして、どの通貨での借り入れと運用が有利であるかについて(たぶん真剣に!)予想して、取引を行っています。どの通貨と金利の組み合わせが儲かるのかは、原理的には、一概に何ともいえません。取引しようとする時点では、「高金利の通貨と金利」の組み合わせが儲かるとも、「低金利の通貨と金利」の組み合わせが儲かるとも、決めることができないからです。  この辺りの感じは、外国為替や債券の取引に関わったことがないと、実感として理解しにくいかも知れませんし、実際、一般投資家が錯覚しやすいポイントです。高金利通貨を買う外貨預金や外国債券、あるいは投資信託などが、この点を誤解した投資家を、いわば「釣る」ために使われているのが現実です。外貨預金も外国債券も、リスクの割にリターンが低いことを知るべきです。

日本円の先行きが危ないからと外貨預金を勧める話しについて、その誤りを説明した部分。

ドルコスト平均法には、注意すべき点が少なくとも三つあります。まず、買いたいと思う銘柄があり、それに投資できる資金が100万円あった場合、一度に100万円分購入すると手数料は一回分で済みますが、ドルコスト平均法で10万円ずつ10回に分けて購入すると、手数料はその分かさみます。また、購入10回目にようやく最適なポートフォリオの状態になるため、一回目に全額購入する場合と比べて、その間の期待収益が下がることにも注意が必要です(このことを「機会費用が掛かる」といいます)。三つ目の注意点は、すでに述べましたが、同じ銘柄を買い増しすることによって、「分散投資の鉄則に逆行する」という点です。リスクを下げることが目的なら毎回異なる銘柄を買う方がいい。毎月の給料から天引きして積立投資をすることは、運用に回すことのできる資金の少ない人にとって、確かによい習慣ではあります。しかし、このこと自体はドルコスト平均法のメリットではなく、「天引き」のメリットであり、区別して考えるべきです。何にしても、運用資金があるのならば、自分の「最適額」までさっさと買うのが合理的です。

山崎氏は、投資の基本的なテクニックである「ドルコスト平均法(時間分散)」についてあまり支持をしていなくて、それが彼の持論の特徴的な部分だと思う。
僕はこの、ドルコスト平均法のデメリットの説明を読んで、とても納得がいった。

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