AI将棋の視点から語られる最先端の現場「人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?」

史上最強のAI将棋「ポナンザ」を開発した山本一成さんによる、人工知能の解説本です。
とてもわかりやすく、面白い本でした。


以前に、山本さんが出演した回の「情熱大陸」を見たことがあるのですが、いい意味で学者っぽくない、発想の自由な人という印象ですね。
もともと将棋が大好きで、その延長としてAIの開発をやっている人なので、とても楽しんで開発に没頭している様子が伝わってきました。

衝撃的なエピソードがいろいろあったのですが、特に印象に残ったのは次の内容でした。

  • 人間は自分が理解していることを漏れなく説明することが出来ない
  • 人間は指数関数的な成長を直感的に理解できない
  • 画像に置き換えられるものはいずれ人間を超える

それぞれ、簡単に紹介します。

人間は自分が理解していることを漏れなく説明することが出来ない

AI開発には長らく冬の時代があり、まったく成果が出なかった期間が続いたといいます。

その理由は、人間が思っていた以上に、自分の知恵をコンピュータに授けることが難しかったからです。 何が難しかったのか。時代が進むにつれてわかってきたのは、「人間は、自分が理解していることを漏れなく説明することができない」という、驚きの事実でした

たとえば、「こんにちは」と自分が言った時、それをどのようにして発したのか、他人に説明をしようとすることを想像するとわかると思います。

どの筋肉をどのように動かして息を吐けば「こんにちは」という発声が出来るのか。
ロジカルに説明は出来ません。
説明が出来ないものは、プログラムとして組むことも出来ないし、AIに教えることも出来ない。
人間がやっていることの多くは、そういう、「説明できない」ことばかりです。
そのために、人工知能に人間のことを教え込むというのは、最初に想定されていた以上に大変なことでした。
それを打ち破ったブレイクスルーが、「人間が教える」のではなく、自分自身で学習をしてパターンを見つける「自己学習」だったわけです。

人間は指数関数的な成長を直感的に理解できない

コンピュータが囲碁で人間に勝つのはまだまだ数十年はかかる、という認識が専門家たちの間でも一般的だった中、アルファ碁は登場した途端に、最強位の人間をあっさり抜き去ってしまいました。
どうして、AIは人間の予想をぶっちぎりで超えていくのかというと、普段の日常生活の中ではまったく馴染みのない、指数関数的な成長の仕方をするからといいます。

私たちが普段生活する世界では、「前年度比で何%も上昇し続ける」ものはほとんどありません。物理的な制約が成長の限界を定めるからです。そのため、私たちは指数的な上昇を正しく認識できないことがしばしばあります

指数関数的に成長するものは、追いつかれたと思った次の瞬間に、遥か先まで行かれてしまう。
だから、将棋や囲碁の世界で棋士たちが経験したのと同じ驚きを、この先きっとあらゆる分野の人たちが感じることになるのでしょう。

画像に置き換えられるものはいずれ人間を超える

アルファ碁が採用している「ディープラーニング」という手法は、画像認識にものすごい強みがあって、それはもう人間の能力を遥かに凌駕しているといいます。

言語であれ何であれ、なんとか画像と結びつけることができたなら、それは一気にディープラーニングの得意な対象になり、人間を超えてしまえるのです。 そして、画像は非常に多くの情報を表現することができます。どんなものでも画像にできれば、「縦と横の関係」として表現できるのです。そして縦と横の関係は、距離的なものだけでなく、時間的な近さすら表すことができます

囲碁で圧倒的な強さを得たのは、囲碁の戦局がうまいぐあいに画像として判定が出来たからで、その他のものでも、何らかの形で画像に置き換えることに成功さえすれば、そこはAIの独壇場になります。
人間が話す言語や、哲学的な思考も、いずれは対象に含まれるかもしれません。

人工知能開発の魅力がよくわかった

将棋という一つの分野を追求した、人工知能の最先端の場所での視点から語られているので、例えとして出される話しが具体的で面白い本でした。
専門用語や難しい数式などはまったく出てこず、人工知能の現状がどうなっていて、どのようにスゴいのかがよくわかる本だと思います。

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