仏像の本


仏像の本(廣瀬郁実/山と渓谷社)

「仏像」の見方について、とても細かく、親切に説明している本。
仏像の本であるにもかかわらず、辛気くさい雰囲気を一切排除して、ファンシーな印象さえ与える楽しげな内容になっている。なにしろ仏像のことなどほとんど何も知らなかったので、一つ一つの解説がとても新鮮だ。
手の形とか、持っているものとか、座っている台座によって、その仏像がどういう種類の仏で、どういう役割を担っているのかということがわかるようになると、たしかにこれは、仏像を見るのが楽しくなる。
【名言】
仏像の手の水かきは、悟りを開いた方の証。つまり、如来さまの目印です。私たちの手で水をすくってみようとしても、指の隙間から水はこぼれていってしまいます。でも、悟りを開いた如来さまの手で、同じように水をすくうと、手のひらにいっぱい水がたまります。この水かきは「誰一人として自分の救いから漏らしませんよ」という意味が込められているのです。(p.32)
どっしりと坐っていたり、まっすぐに立っていたりされるのは、ほとんどの場合が悟りを開いた如来さまです。如来さまは、正しい道を知っています。みんなが迷わぬように、いつでも正しい法を説かなければなりません。なので、如来さまは動かず、ここに確かにいますよ、という姿勢をされているんだそうです。
ちょっと前かがみになったり、体をねじったりしているのは、動きを表しています。「今すぐ助けにいきますよ」というメッセージです。(p.39)