The Missing Piece(ShelSilverstein/HarperCollins)
日本語版では「ぼくを探しに」という題名で出版されている。
だいぶ昔、小学生くらいの頃に読んだ覚えがあるけれど、その時と今とでは、伝わってくるメッセージがまったく違うということに驚いた。
絵はかなりシンプルで、語られている文章もとても簡潔だけれども、それだからこそ、読み手に、「Missing Piece」とは果たしてどういうもの(こと)を指しているのか、ということについて無限の想像をかきたてる余地が与えられている。
子供が読んでも大人が読んでも、その時期に応じたメッセージに置き換えて、自分自身の頭で考えさせられる物語なのだ。
この絵本が提示しているのは、正解や道徳ではない。
「幸福とは何なのか」ということ一つをとっても、正解はなく、読み手全員に違った答えがある、ということに、おのずから気づかされるようになっている。優れた絵本というのは、そういう、プリズムのような多面性を持っているものなのだろうと思う。
【名言】
And away it rolled
and because it was
now complete,
it rolled faster
and faster.
Faster than it had
ever rolled before!
So fast that it could not stop
to talk to a worm.