南仏に行ったことがある人達から話しを聞いた時、共通してみんなからおススメされた街があった。
エズ(Eze)という街は、ニースとモナコの中間地点にあり、どちらからもバスで20分ほど。海沿いにそそりたつ断崖絶壁の上にある街なので電車も通っておらず、交通手段はバスしかない。
エズは迷路のように入り組んだ路地の中に出来上がった街だ。一本道ではないので、うろうろと歩いているといつの間にか元の場所に戻ってしまったりするけれども、その混沌さがまたいい。
街中には土産物屋が多いけれども、いくつかシャトーホテルやレストランも点在している。景色がいい店を見つけてランチを注文すると、見た目の印象よりもずっと本格的な店だった。ワインリストを渡されたが、よくわからないのでフルーツを使ったカクテルを頼む。
食事のメニューも、アラカルトのものはさっぱり見当がつかなかったので、1種類だけあるセットメニューを注文することにした。何が出てくるかと思っていると、これがとても美味しいものばかりだった。豚の角煮と香草、白身魚のスープ、チーズ、メレンゲをクリームに浮かべたフロッタンテというデザート。
エズで最も高い場所は植物園になっていて、そこから見た景色は本当に絶景だ。もともと海防のために高台に隠れるように建てられたので、地中海を一望出来る場所に寄せ集まるようにして街が出来上がっている。渓谷にまたがって架けられた、目のくらむような高さの橋を見ても、天然の要害に囲まれた場所という感じがする。
ちょっと観光地化している感じはするけれども、ニースやモナコからすぐの場所にあるにも関わらず、中世のたたずまいを感じることが出来る街だった。