「メトロに乗って」のミュージカルを観た。
舞台の中で一番シビれたのは、物語の非常に重要なキーとなる、アムールという人物が登場するシーンだった。
階段の上にアムールが登場した瞬間、舞台の空気や色あいや音楽が変わって、世界が一瞬にして変わったのだということがわかる。
ある人物が自分の人生の中に登場したことによって、明らかに自分の中の何かが変容したのだ。
たとえば三国志や水滸伝のような小説で、一番面白くてワクワクするのは、時代の英雄と英雄とが出会った瞬間だ。
その人物との出会いによって、いったい何が起こるのかはその時点ではお互いにわからない。ただ、その出会いの瞬間の前と後では、はっきりと世界の色が変わる。
人生というのは、そういう、後から振り返れば運命としか呼べないような出会いによって彩られているのだろうと思う。
■音楽座ミュージカル「メトロに乗って」
http://www.ongakuza-musical.com/sakuhin/metro_archive.php