ももんち


ももんち(冬目景/小学館)

作者は、80年代をイメージしてこの作品を描いたというけれど、まさにその空気感を再現した、のんびりと季節が流れる感覚。
今だからこそ、この原点回帰が、かなり斬新な感じがする。
そもそも、浪人している美大予備校生という時点で、時間の流れ方がかなり独特だ。後半になって、ようやく携帯電話というアイテムがちょっとだけ登場したけれど、それ以外にはまったく、現代らしさを感じさせる道具はあらわれない。
話しは1巻完結で、高校を卒業してから美大の受験が終わるまでの、春夏秋冬春、の全5話。この雰囲気は本当に心地いい。もっともっと、この先の話しの続きを読みたいところではあったけれど、このままだらーっと続いてしまうよりは、1巻できっちりと完結しているところが良かったんだと思う。