ブラックホーク・ダウン


ブラックホーク・ダウン

戦場がいかに人間にとって過酷な場所で、戦争によっていかにあっけなく人間が死ぬかということを思い知らされる作品。
貧弱な装備しか持たないソマリアのゲリラ民兵との戦いに、アメリカ軍の精鋭部隊が投入されるという、圧倒的なまでにアメリカ軍優位な状況が、ブラックホークという一機のヘリコプターが墜落した瞬間から、戦局は大きく変わっていく。
その先は、ヘリの乗員の回収と機密保持のために追加投入される戦力が次々に返り討ちに遭うという泥沼化の一途。
たったひとつの小さなファクターによって、その後の展開がドミノ式に想像の範囲を超えて悪化していくという、カオス的な混沌の恐ろしさを実感させられる。
とにかくリアルさがスゴくて、本当に、自分自身が戦場のど真ん中にいるような気持ちになる。
ストーリー的な部分や、状況を説明するナレーションは最低限しか入っておらず、あとはひたすら兵士たちの視点での映像を映し続けるという、徹底した主観視点での映像になっている。
ヘリコプターが墜落する場面や、遮蔽物の狭い陰に隠れて銃で撃ちあう場面など、チャチなドラマの演出とは比べ物にならないくらい圧倒的な緊張感がある。
映画で表現することが出来る潜在能力とメッセージ性の大きさを感じた作品だった。