本屋は、ある程度大きい本屋であれば、置いてある品揃えにそれほど違いは表れない。新発売の本や、売れ筋の本はどこの本屋でも目立つ場所に置くし、その逆に、売れない本はどこの本屋でも積極的に扱おうとはしない。
その点、古本屋はその店独自の品揃えになるから面白い。ブックオフのようなチェーン店になると商品は均一化してしまうので、こういう古本屋は除外するとして、店主が独りで店番をしているような小さな古本屋は、店主の好みが如実にあらわれる。
だから、好みに合う古本屋はぴったりとハマるし、そうでない古本屋はまったく肌に合わないという方向に二極化することになる。
自由が丘にある「西村文生堂」は、ごく小さなスペースの店内だけれど、それだけに、置いてある本はかなり厳選された内容になっていて、そのセンスがとても自分の好みに合っている。
一種のセレクトショップのようなもので、この店に置いてある本なんだから、きっと面白い内容なんだろうと思わせる。こういう店があると、心強いアドバイザーが一人ついてくれているようなもので、そんな古本屋が近所にあるというのは、とても嬉しいことだ。