ドゥブロヴニクで、なんといっても好きなのが、路地裏だ。
建物と建物の間の道がとても細くて、その間にヒモを渡して洗濯物がかかっていたり、道端に猫が寝ていたり、子供が遊んでいたりする。
香港の路地裏にも格別の魅力があるけれど、香港をひっそりとした陰の魅力とすると、この街の路地は陽の明るさに満ちている。
旧市街は、シドニー・シェルダンの小説のように、夜にはまったく別の顔を見せる。これは、本当に、びっくりするぐらい変わる。
陽が沈んで、街がライトアップされた途端、白とオレンジの地中海風の色彩は姿を突然消して、モノクロームな中世のたたずまいが浮き上がる。
昼間にはギリシアや南イタリアのような明るい景色だったのが、
夜になると東欧のような、落ち着いたちょっと物悲しい雰囲気になるのは不思議だ。