「超一流」の構想術


「超一流」の構想術(中谷彰宏/ファーストプレス)

アイデア発想法の本は、「いかにヒラメキを生み出すか」ということに注目をして書かれていることが多い。自分も、アイデアというのはヒラメキの部分、つまり0から1の部分が重要で、かつ、難しいのだと思っていた。
しかし、この「構想力」が言っていることはまったく逆だった。0から1よりも、1から2のほうが難しい、のだという。
言われてみればそのとおりで、ヒラメキというのは特別な訓練をしなくても、あるときふと浮かぶことがある。そこまでは、日常に起こりえるが、それに頼っていては、常に作品を生み出す継続力は生まれない。
重要なことは、生まれた貴重なヒラメキの火を絶やさずに、大事に育てていくことのほうなのだ。ヒラメキは偶然や勘に頼る部分が多いけれど、それを大きくつなげていく構想力というのは、論理的に組み立てられる部分が大きく、それだけに、再利用もしやすいし、経験をノウハウとして蓄積していくことが出来る。
この本は、この先ずっと役立ちそうな、とても大きな気づきを与えてくれた。
【名言】
大切なのは、ヒラメキではなく、構想する力です。
構想力は、ヒラメキを連発できるということです。
プロは、連続してひらめくために、ヒラメキを一度論理的に落とします。
そうしないと、いつヒラメキが出るかわからない不安定な状態になるのです。(p.26)
発想は、目的に向かって下から上に考えていきます。
構想は逆です。
目的から下がって考えるのです。
つまり、逆算です。
これはきわめて簡単です。
あみだくじを逆にたどるということです。
発想型のやり方は、あみだくじを「ここをやったら、はずれ。次もはずれ。またその次は・・」と順番にやっていきます。
構想型のやり方は、当たりから上がっていきます。
だから、はずれようがありません。
これが構想と発想の違いなのです。(p.40)
少人数でやることほど非効率なことはありません。
でも、最初から超満員で始めると、絶対に方向が見えなくなります。
構想のやり方は、「小さく産んで、大きく育てる」です。
最初から超満員の想定のやり方は、長続きしないのです。
私は1時半始まりのセミナーでは、それより前に始めます。
それより前に来ている人がいるからです。
通常のセミナーでは、1時半始まりでも1時半からは始まりません。
5分押し、10分押しです。
「遅れていらっしゃる方がいるので」「今日は雨で時間がかかっているみたいで」という形で、遅れている人を基準にします。
これが広くとろうとする考え方です。
でも、私は、そんな中で早く来ている人はそれだけ一生懸命なのだから、その人にまずこたえなければと思います。(p.72)
構想力は、シリーズ化しなければなりません。
単発の「点」で終わらせないで、必ず線→面→立体につなげていきます。
1回1回苦労していてはいけないのです。(p.78)
出てきたアイデアをいつまでも自分の中に抱えていてはいけません。
アイデアは、一人歩きさせるのです。
アイデアは、必ず思ったとおりにはいかないで、乱反射します。
イメージとしては、ビリヤードです。(p.81)
「○○銀行の警備が甘い」という情報が入った時に、銀行強盗をしようとする人は、そこを狙います。
でも、構想力のある人は、「みんなも同じことを考えている」と考えます。
アイデアの落とし穴は、自分だけが思いついたと思い込むことです。
構想力のある人は、銀行強盗の逃げるルートを考えて、銀行強盗を襲撃します。(p.137)
同時に起こるテロは、印象が強烈です。
単発でポン、ポン、ポンと起こっても、何のインパクトもありません。
テロは相手をパニックに陥れるのが目的です。
単発で終わっては、インパクトがないのです。
テロは、必ず同時多発を狙います。
小さい爆発でも、同時期に起こると、何かすごいことが起こっているんじゃないかと思います。
その延長線上をみんなが勝手に想像して、相手が導くほうへ巻き込まれるのです。(p.178)
ソーシャルブックシェルフ「リーブル」の読書日記