智慧の実を食べよう 学問は驚きだ


智慧の実を食べよう 学問は驚きだ(糸井重里/ぴあ)

それぞれ独自の研究を進めている、4人の学者をセレクトしておこなわれた講座の講演録。一般向けにおこなわれた講演をそのまま収録しているので、専門書を読むよりもはるかにわかりやすい言葉で説明されている。
この本に収録されているのは、岩井克人氏、松井孝典氏、山岸俊男氏、川勝平太氏の講演。
タイトルからして、もっと理解不能でエキセントリックな内容を想像していたので、それと比べると、かなり普通に、親しみやすく、タメになると思うような話しばかりだった。
講演の話しというのは、本に書かれた内容よりも、その人の人柄がよく伝わってきて面白い。特に、岩井克人さんの講演録は、とても臨場感があって、経済学を勉強する過程での回り道や困惑など、プライベートな考え方の部分までもが明らかになっていて、余計にその、言っている内容の背景が理解しやすかった。
巻末におまけとして収録されている、色々な人の一言を集めた「50の言葉」というのも、イトイ新聞ぽい内容で、さりげなく、いい付録だと思う。
【名言】
学問をやっている人って、自分さえもその結果に驚くような結論に、ときには、たどりついちゃうじゃないですか。アルキメデスが風呂から飛び出したエピソードも、あれは、何より、自分が驚いたんですよね。(糸井重里)(p.17)
簡単に言うと、近代以前の社会とは、「ヒトとモノとが厳密には区別されていないため、時にはヒトがモノとして扱われているという集団」なんです。(岩井克人)(p.39)
ケインズ自身が作り上げた「一般理論」は、内容的に経済学にものすごいインパクトを与えた。しかし、そのインパクトをさらに強めた要素があるんです。ケインズには、「ケインズになる前」というものがあるのです。これは、すごく重要でした。このケインズになる前のケインズは、伝統的な経済学で最も有名な実力者だった。伝統的な経済学のチャンピオンだった人が、その経済学を批判してしまったので、ものすごいインパクトになったんです。最初から異端でいると、なかなかメインストリームにはならない。(岩井克人)(p.121)
たとえば、生物圏が生まれた結果として、大気圏あるいは海の中に酸素がたまったわけです。これを今風の環境問題の議論のように言えば、「酸素という汚染物質が大気海にたまって、それ以前の嫌気性の生物、すなわち酸素の存在下では生きられないような生物が、生物圏の片隅に追いやられた」というようなことになります。(松井孝典)(p.148)
おそらく「研究のおもしろさ」というのは、大きく分けて、二つあると思います。一つ目は「ゲームを解くおもしろさ」です。わたしがアメリカにいるときには、特にこちらをやっておりました。「現在、みんなが解きたがっている問題があって、そいつを一番最初にきれいに解くというおもしろさ」です。ただし、それにハマると、もっとおもしろいおもしろさがあるというのがわからなくなるんですよ。それがもう一つのおもしろさの「問題を作るおもしろさ」です。(山岸俊男)(p.178)
日本は地名でもって時代区分している国です。地名で時代区分している国がほかにあるでしょうか。お帰りになって、世界史年表をちょっと見てください。そうすると、首都機能を移転して国はたくさんありますけれども、首都機能のおかれた地名で時代区分してはいません。(川勝平太)(p.267)
ソーシャルブックシェルフ「リーブル」の読書日記

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