世界「夢の旅」BEST50


世界「夢の旅」BEST50(講談社)

世界中の美しい景色や、珍しい景色ばかりを50種類集めた写真集。
ものすごく好みのセレクションだった。
いわゆるパリやロンドンの観光地のような有名どころの写真はまったくなく、ここで取り上げられているのは聞いたこともないような場所が多く、その風景も、ハッとする衝撃を与えるような、幻想的なものや斬新なものばかりだった。
世界にはこんなにも、知られざる美しい景色が残されているのか、ということに驚かされる。
ぜひとも、自分の目で見てみたい景色がたくさんあり、地球の大きさを思い知った気分だった。
写真集としては、それほど高級な作りではないけれど、その分1,680円と安めの価格になっていて、そういうところもいい。この本の場合、高品質な写真は必要はなく、むしろ、あまりはっきりと見えすぎないぐらいのほうが丁度いいのだと思う。
【特に素晴らしいと思った場所】
・雲南省の棚田(中国)
→これは、本当にすごい。平地を他民族に追われたために、ベトナム国境近くの山奥に住まざるをえなくなった少数民族が、山の斜面を削って作ったという田んぼがひたすら続いている。芸術的な美しさだ。
・ナラーバー平原(オーストラリア)
→真っ平らな平原が、突然海のところでスパッと切れて終わっていて、断崖になっている。非現実的な景色なのだけれど、観光地ではないらしく、訪れる人はあまりいないという。
・バンディアガラ(マリ)
→断崖の途中に、ドゴン族の集落があって、そこに、土壁と藁の屋根で作った倉庫が並んでいる。これも、現実の風景とは思えない。
・プローチダ島(イタリア)
→ナポリの南西20kmほどのところに浮かぶ小さな島。建物がところ狭しと並んでいて、色とりどりの壁の家で埋め尽くされている。
・ボヘミアの森(チェコ)
→昔、ボヘミア王国が栄えた緑豊かな地、という時点でたまらない。木々の緑と、青い川。ファンタジーの中のような、いかにも「森」らしい森。
・マーチュワン河(チベット)
→ラサの西600kmのところにある河で、特に変わった景色というわけではないのだけれど、地元の人もめったに訪れないという辺境だという。そこへ行くまでのアクセスが熱い。成都からラサまで空路2時間。そこから車で1週間。
・ナトロン湖(タンザニア)
→天然ソーダで出来ている、真っ赤な湖。赤い藻が自生していて、それを食べるフラミンゴはその色素でピンク色になる。アクセスは、ロンドンから空路8時間でナイロビに着き、そこから軽飛行機をチャーターして20分。
・ヤンキチャ島(ロシア)
→北方領土の、千島列島の北東に位置する。無人島で、珍しい昆虫や貝とともに、手付かずの大自然が残っている。カルデラの湖の中にふたつの中島が浮かぶ不思議な景色。調査船以外に人が訪れることがないという秘境。
・メテオラ(ギリシャ)
→ギリシャの中央部にある2000m級の山脈に、大きな岩の塊が林立している。その岩の天辺に修道院が建設されている。狭い岩場の間に作られた階段や、縄ハシゴでしか登れないため、侵略されることなく、当時の宗教画がそのまま残っているという。
・シバーム(イエメン)
→雨が降れば巨大な川になるワディ(涸れ川)の谷間に出来上がった「砂漠の摩天楼」。砂漠の中にいきなり、30mもの高層建築が並んでいる。
【この写真集で取り上げられている場所】
ボラボラ島/エアーズロック/ノルドランド/ロレンシャン高原/ヴァドゥー島/ボヘミアの森/ナマクワランド/ナラーバー平原/バンディアガラ/ホワイトサンズ/ピサモエ島/ココ島/ラ・マンチャ/雲南省の棚田/ホワイトヘブン・ビーチ/イースター島/ギアナ高地/ジャスパー国立公園/プローチダ島/グトルフォス/マダイン・サーレハ/北欧のオーロラ/マーチュワン河/パガン/ナトロン湖/程陽風雨橋/デナリ国立公園/座間味/ムービング・ロック/バオバブ街道/サンマリノ共和国/ハジャラ/ドネゴール地方/ボラカイ島/フンザ渓谷/ペインティド・デザート/ヤンキチャ島/南極/風の宮殿/メテオラ/ドルフィンサイト/ガイランゲルフィヨルド/キゾ・アイランド/シーギリヤ・ロック/ナスカ/ヤノマミ族の村/クアトロ・シェネガス/シバーム/エベレスト街道/マックォリー湾