チームワークとリーダーシップについて考えさせられる「ジョジョの奇妙な冒険 第五部」


「ジョジョ」の物語は、第一部から六部まで、それぞれに独特の魅力があるけれども、単行本47~63巻にあたる第五部にも、ここにしかない良さがある。

「運命」に対してどこまで抵抗ができるのか

主人公のジョルノのキャラがいい。チームの新入りとして、まったく周りに認められていない状態からスタートしながら、時々見せる鋭い判断力と、周囲を驚かせる行動力で、自然に一目置かれる存在になっていき、ついには「ジョルノの考える方向に、知らず知らずのうちにみんなが引っ張られていく」ようにまでなる。

ジョルノ一人がそれほど目立っているわけでも、敵との戦いが多いわけでもなく、チームとしての動きがメインになっているところがいい。みずから出しゃばることのない指導者、という静かな威厳が、イタリアギャングの内部抗争が中心になっているこの章にはとてもふさわしかった。
この、チーム全体が主役、という雰囲気はかなり特徴的で、まずキャラクターが全員登場した後に、物語と関連しながら、それぞれの少年時代が、順番に、少しずつ明らかになっていくという構成は面白かった。

ジョジョは、どの章もラストのボスの設定がすごいけれど、この五部のボスもかなり常人離れしている。
キング・クリムゾンの能力も、スタンドの造型も、最高に良かった。その、病的なまでの秘密主義や、多重人格という性格のとんでもなさもすごい。
やはりラスボスは、このぐらいぶっ飛んでてほしいと思う。

五部では「運命」という言葉がよく出てきた。これが、この章の主要テーマなのだと思う。キング・クリムゾンは未来の「運命」を予知し、その運命を自分自身が支配することで、世界の帝王になろうとする。
それへの反勢力である、ブチャラティやジョルノに与えられている命題は、この「運命」というものに対してどこまで抵抗が出来るのか、ということだろう。アバッキオの精神世界の中で、アバッキオを救った警官が言う「『運命』という結論が重要なのではなく、そこに向かう過程が重要なのだ」という言葉は、とても象徴的だった。

ラストバトルと、その終わり方も、素晴らしかったと思う。レクイエムというスタンドの無差別で圧倒的なパワーや、ディアブロの凄まじい最期は、もう完全に想像を遥かに超えた領域に突入していて、少年誌でここまでやるか・・という驚きを禁じえない。
そして、型やぶりなエピローグ。エピローグといえば、普通は物語の最後に挿まれるものだけれども、この五部のエピローグは、そういう形式ではない。しかも、後日談ではなく、過去に遡った前日談になっているという意外さ。そして、このタイミングしか、このエピローグは入らない、という絶妙の場所に挿んでくる。この第五部も、最高にドラマチックな物語だった。

強く印象に残っているところ

名言


「康一くん君はどう思う?会ったのは君だ・・どんな印象を受けた?」
「わかりません・・でも・・何か・・その、さわやかなヤツでした・・荷物を盗まれたのに奇妙なんですけれど・・」(47巻p.139)


「ギャングだけどイイ人だ・・あんたは今、ぼくへの攻撃を一瞬ためらったから、あんたへの攻撃もやめる事にしたんだ。あんたは自分からはずしたこの少年の腕を見た時、この『腕の異常』に気づいてショックを受けて一瞬、攻撃をやめた・・。ですよね?麻薬をやっているこの『腕』に・・ショックを受けて」(48巻p.42)

いつも考えるのは彼の「怒ってくれた事」・・だった。「なぜ、彼はイキナリ怒ったのだろう?」でも、あの怒りは、「恨み」だとか「嫌悪」だとか、人を「侮辱」するようなものは何もない怒りだった・・警官たちや、おれの父親が「怒る」時とは大ちがいだ。
マジになってこのオレを怒ってくれた。彼には何の得もないのに・・・彼のあの態度のことを考えると勇気がわいてくる。ナランチャは彼とその仲間のために働きたい・・「男っていうのはああいう人のために働くものだ・・」ひたすらそう思うようになった。(50巻p.177)


「ジョルノッ!おまえの命がけの行動ッ!ぼくは敬意を表するッ!」
「い・・いえフーゴさん・・『命がけ』というのはぼくの事じゃあない・・『命がけ』というのはアバッキオの事です。今・・彼の『手』は重症のはずです。『命』がどうなろうとも『鍵』を守ったのは彼であり、そしてアバッキオがここまで『鍵』を運んでくれなかったら敵は倒せなかった。」(52巻p.82)

「ブッ殺してやる」ってセリフは・・終わってから言うもんだぜ。
オレたち「ギャングの世界」ではな。(53巻p.166)

運命なのか・・それとも似たようなスタンド同士の引力で君とぼくとは出会ったのか・・人というのは成功や勝利よりも「失敗」から学ぶ事が多い・・「部品」にする君の能力・・君のおかげでぼくの「ゴールド・エクスペリエンス」はとにかく成長できた。(54巻p.123)


おまえ・・このオレに・・「覚悟」はあんのか・・と・・言ったが。見してやるぜ、ええ・・おい、見せてやるよ。(55巻p.129)

『消えた炎は消えた瞬間を炎自身さえ認識しない!』『結果』だけだ!この世には『結果』だけが残る!時間の消し飛んだ世界では、「動き」は全て無意味となるのだッ!(56巻p.58)

未来という目の前に・・ポッカリ開いた「落とし穴」を見つけ!それに落ちる事がなければ、人生は決して「沈む」事がない「絶頂」のままでいられる。わたしは!・・そうじゃないか?え?(56巻p.62)

だめだ・・こればかりは「命令」できない!おまえが決めるんだ・・自分の「歩く道」は・・自分が決めるんだ・・。
だが忠告はしよう。「来るな」ナランチャ・・おまえには向いてない。(56巻p.119)

アバッキオは・・ジョルノおめーのこと軽くみてるけどよォ。なにか・・知らず知らずのうちにおまえの決断する方に動いていってるんだよなあ。まるで「指導者」のようによォォーッ。(57巻p.105)

な・・名前・・あなた・・名前はあるの?あんたの事、何て呼べばいいの?
『スパイス・ガール』!!
そう・・一味・・違うのね・・(58巻p.69)


ジョルノ。それについては・・おまえの「ゴールド・エクスペリエンス」自身が誰よりも良く知っている事だな・・?終わったものはどうすることもできないってな。
オレの「命」は・・あの時すでに終わっていたんだ。黙っててくれるな?みんなには・・(60巻p.83)

故郷ネアポリスの郊外に・・トリッシュ・・小さいが・・家を持っているんだ・・
全てが終わ・・って、もし行くところがないのなら・・そこに住むといい・・
近所には・・学校もあるし・・いいレストランもある・・海辺も近いんだ・・
君には過酷な事がたくさん起こったが、新しい人生を楽しむ事ができるだろう・・(61巻p.132)


「確かに・・そこにいるのなら・・ボス、完全にぼくたちの勝ちだ!
でも・・さびしいよォォォ・・ボス。いつものように、電話ください・・待ってます・・」(62巻p.126)


「ジョルノ・ジョバァーナ。やはり・・この新入りか・・
このわたしを・・邪魔するのはこいつだと・・思っていたよ・・」(62巻p.187)

「ジョルノ・・オレは・・生き返ったんだ。故郷・・ネアポリスでおまえと出会った時・・組織を裏切った時・・にな・・。
ゆっくりと死んでいくだけだった・・オレの心は、生き返ったんだ・・おまえのおかげでな・・。幸福というのはこういうことだ・・これでいい。気にするな・・みんなによろしくと言っておいてくれ・・」(63巻p.42)


「生き残るのは・・この世の『真実』だけだ・・真実から出た『誠の行動』は・・決して滅びはしない・
ブチャラティは死んだ・・アバッキオも・・ナランチャも・・。しかし、彼らの行動や意思は滅んでいない・・彼らがこの『矢』をぼくに手渡してくれたんだ。そしておまえの行動が真実から出たものなのか・・それともうわっ面だけの邪悪から出たものなのか?それはこれからわかる。
あんたははたして滅びずにいられるのかな?ボス・・」(63巻p.79)

「ぼく自身もレクイエムの能力はハッキリ見えはしなかったが、なぜか心の中でそれは確信している。
ヤツはもう、どこへも向かうことはない。特にヤツが『真実』に到達することは決して・・『死ぬ』という真実にさえ、到達することは決して・・『無限に』。
終わりのないのが『終わり』、それが『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」(63巻p.124)

名場面


ペッシ(ビーチ・ボーイ)とブチャラティの、列車の外での一騎打ちの場面


対スクアーロ戦で、ナランチャが「ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)」というコマ(57巻p.102)

ノトーリアス・B・I・Gというスタンドの発想

リゾットとディアボロが戦うという展開

ドッピォの中にディアボロがあらわれるところ


レクイエムの出現

造型が好きなスタンド


ブラック・サバス

パープル・ヘイズ

ザ・グレイトフルデッド

キング・クリムゾン

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