天然コケッコーの散歩路シネマプラス(くらもちふさこ/集英社)
「天然コケッコー」からスピンアウトしたファンブック的な本けれども、本作のカットの切り抜きを寄せ集めたような適当なものではなく、かなり濃い内容になっている。
作品が映画化された時に、「シネマプラス」という副題がついて改訂され、映画関連の記事が追加になったようなのだけれど、この部分はあまり興味がなかった。
フルカラーのイラスト集や、描きおろしの短編に加えて、くらもちふさこ氏へのインタビューまで収録されている。
このインタビューがかなり良く、「天然コケッコー」の作り方が、これまでの作品とどう違うかということや、最終回の終わり方について考えていたことなど、この作品にかけていた愛着の深さが感じられる話しばかりで、思い入れが伝わってくる内容だった。
【名言】
『天コケ』以前は、どちらかというとストーリー重視でした。「ここで盛り上げて」といった、読者を惹きつける、読者の気持ちをつかむことを大きく意識していたんです。『天コケ』では、全神経をキャラに集中させたいと思ったので、ストーリーはかなり手薄になってますね。(p.80)
『天コケ』の最終回は悩みました。こうしようと決めても、ほかの終わり方があるんじゃないかと、ずいぶん逡巡しましたね。(p.83)