レッド・クリフ PART I

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やたらと戦闘シーンばっかりの映画だったという印象。あの長い長い戦の場面を簡略化すれば、二部構成にしなくても、充分に一作の中で収まったんじゃないだろうか。
これで、戦闘シーンが退屈だったらとんでもなく苦痛な映画になるところだったけれど、これがとても良かった。あれだけ長い時間をアクションでもたすというのは、相当な「魅せる技術」だと思う。
こんな大変な撮影をするぐらいなら、普通に宮中での会話シーンを入れておいたほうが余程制作は楽なわけで、そこを、敢えてアクションシーンで勝負するところに、ジョン・ウー監督の矜持が感じられる。
広大な大地に何万人という軍勢が集まっているところや、集団の陣形が形を変えていくところは、中国的スケールの大きさを感じて、それにとても感動した。「八卦の陣」とか、小説じゃまったくわからないだろうけれど、映像で見るとすごく美しい。
関羽や趙雲の、槍の一振りで「三国無双」バリに人がふっ飛びまくる、人間離れした一騎当千ぶりも、いかにも三国志っぽい世界観でいい。
この映画で、素晴らしいと思ったのは、三国志のストーリーの中で特に「赤壁の戦い」に焦点をしぼったというところと、孔明と周瑜の2人にスポットを当てているというところだった。
普通の作り方であれば、主人公は曹操か劉備になるだろうし、ストーリーは戦闘の部分がメインではなく、人間ドラマを中心にした権謀術数が見せどころになるだろう。
そこを、徹底的に自分の土俵に引きずりこんで、物語中最大の合戦部分のみを切り取って作品にするという、監督の思い切った選択は、見事だと思う。
キャラクターで良かったのは、あまり目立たずにたえず薄笑いを浮かべる、若干うす気味悪い孔明と、やたら妖艶な小喬で、これはハマり役だったと思う。
あとは、全員が悪役顔で、どれもイメージに合わなかったけれど、孫権だけは、独特の凄みがあってカッコいいと思った。
赤壁の戦いが始まる前からして、この戦闘シーンの多さなので、「PART II」では、これを上回るアクションシーンの連続であろうことを考えると、ストーリー的にどうなんだろうという危惧はある。でも、これは、来春公開の続編が楽しみだ。