ランズ・エンド


この、「地の果て」という名前に惹かれて、いつか訪れてみたいと思っていた街。その名の通り、イギリス南西部の、最西端に位置している。
 
断崖絶壁に波が打ち寄せる光景を予想していたのだけれど、着いてみたら、あたり一面に霧が立ち込めていて、海も何も見えなかった。しかし、これはこれで、この世の果てまで来たような雰囲気があって、悪くない。
 
街に一軒だけあるホテルは、「空室無し」の看板が出ていたけれど、そもそも営業していないようだった。人の気配もまったくないし、岩ばっかりだし、恐山に来たような気分になる。
 
そんな中で、いくつかのイベント小屋だけは営業していた。いちおう、目玉企画は「DOCTOR・WHO」という、SFドラマのアトラクションらしいのだけれど、見るからにショボい上に、この土地とまったく関連性がないこの小屋の存在が謎。
 
というわけで、地の果てまで来て、人間には誰にも出会わないまま、元来た道を引き返すことになった。