刑務所のリタ・ヘイワース


刑務所のリタ・ヘイワース(スティーヴンキング/新潮社)

「ゴールデンボーイ」という短編集の中に、併せて収録されている作品で、この短編集の中では一つの小作品的な扱いでありながら、のちに「ショーシャンクの空へ」として映画化されることで、見事に昇華された。
映画も名作だったけれど、この原作もよく出来ている。映画ほど描写は派手ではないけれど、主人公の地道で堅実な性格が、小説ではさらにはっきりと現れている。そして、この小説の中では、物語のエッセンスがさらに凝縮されている感じだ。これだけの短い作品の中で表現をしきってしまう、スティーブン・キングの力量は、やはりものすごいものがあると思った。
【名言】
わたしは最善を願い、最悪を予想していた。ただそれだけだ。わたしはハリケーンの進路から家財を運びだした。しかし、思ってもみなかったよ。そのハリケーンが・・こんなに長く続くとは。(p.117)