この世でいちばん大事な「カネ」の話


この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子/理論社)

この、理論社の「よりみちパン!セ」シリーズは、小中学生あたりをメインターゲットにして出版されているシリーズのようなのだけれど、そこに、こういう「カネ」をテーマにした西原氏の話しを持ってくるというのは、最高だと思う。
本の中に挿絵はあまりなく、ほとんどが文章という点で、筆者独特の持ち味という点では数段落ちてしまう感じはするのだけれど、それだけに、内容は真っ向勝負で、手抜きなく真剣に自分自身が体得した人生訓をぶつけている感じが伝わってくる。
学校では習うはずもない、シビアな体験談に子供のうちから触れるというのは、悪いことではないだろうと思う。父親の自殺の話しや、高知から東京への上京後の話し、麻雀賭博の話し、離婚の話し、などなど、こんな生々しい実体験を語れる先生というのもそうそういないだろうから、これは滅多に得がたい、活きた知恵に違いない。こういう本が図書室に置かれるようになれば、この本をきっかけに人生観が変わったという小学生も現れるようになるのかもしれない。
【名言】
何かをやりはじめたとき、誰もが最初にぶち当たる壁は、自分の実力を知らなきゃいけないってことだと思う。
ほら、女の子って、鏡を見るとき、自分がいちばん気に入ってる角度で、自分が思ういちばんいい表情をつくるものでしょ。
ようするにわたしは、その「いい角度、いい表情」の自分だけを見て「あたして、ビジン殻」とうぬぼれていたというわけ。人って、自分の現実に実力以上のゲタをはかせちゃってるものなのよ。(p.80)
漫画がヒットするにつれ、わたしは親しい編集者から「狂犬」というあだ名で呼ばれたりした。
だけど、そのころに出会った編集者とは、いまでもずーっと一緒に仕事をしている。二十年来の長い付き合い。こういうのって、この業界でも、そうそうあるものじゃない。戦友みたいなものよ。編集の人たちがわたしがやらかすことの抗議の矢面に立ってくれたから、こっちはいつだって、本音でやっていけた。正しいことは正しい。まちがってることはまちがっている。やっぱり、人間はそういう「気概」ってもんがないと。(p.116)
こういう人に出会っちゃうと、「自分は最下位で苦労してきました」なんて、とっても恥ずかしくて言えないよね。
「自分がいちばん!」、そう思っているうちは、まだまだ。
「この人には負けた!」、そう思える人と出会ったら、くやしがるだけじゃなくて、喜んじゃっていい。
だって、それが「世間の広さを知る」ということだから。(p.134)
わたしは思うんだけど「損したくない」ってことばかり考えていると、人って、ずるくなるんだよ。少しでも人より得しようって思うから「だったら、ズルしちゃえ」っていう気持ちが出てきてしまう。ささいなきっかけで、それがどんどん卑しい行為に結びついてしまう。
きっかけはささいでも、「このくらい、べつにたいしたことはないよな」っていう、自分にだけ都合のいい気持ちが、あとあとの大きな分かれ道になってくる。(p.166)

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